酒類・加工食品業界で受発注や出荷案内のデジタル化を進める場合は、自社側のシステムだけでなく、多数の取引先が参加しやすい接続方法や業界標準への対応状況も重要です。ファイネットの「商品流通VAN EDIサービス」は、メーカーと卸売業者の間で交わされる受発注、出荷案内、販売実績などを共通基盤上でデータ交換できる業界特化型のサービスです。本記事では、公開されている公式情報をもとに、サービスの特徴や対応範囲、運用体制、導入事例を解説します。
【ファイネットのEDIサービスはこんな企業におすすめ】
【こんな企業にはおすすめしません】
EDIサービスは、提供形態やカスタマイズ性、運用支援の範囲によって向いている企業が異なります。当ページ紹介のサービスが自社の要件に合わない場合は、ほかのサービスも比較・検討してみてください。
ファイネットの「商品流通VAN EDIサービス」は、酒類・加工食品のメーカーと卸売業者を結び、商取引データを電子的に交換するための業界特化型VANサービスです。ファイネットは1986年の設立以来、業界内のデータ交換と標準化に取り組んでいます。
公式サイトによると、ファイネット全体で約2,500社が参加し、年間の総データ交換件数は約33億件です。すでに多くの企業が利用する共通基盤を介して接続できるため、取引先ごとに個別の仕組みを一から構築する負担を抑えやすい点が特徴です。
交換できる主なデータには、発注、出荷案内、販売実績、販売促進金、事前出荷情報(ASN)があります。さらに、在庫報告、請求、出荷予定などについても、業界で利用される標準フォーマットに対応しています。
受注情報だけを電子化するのではなく、発注から出荷、納品後の販売実績や精算関連データまで連携できるため、入力作業の削減に加えて、照合や進捗確認を含む取引全体の効率化を検討できます。
取引先同士で通信手順やデータ形式が異なる場合、個別に変換システムを用意すると、接続先が増えるたびに開発・保守の負担が大きくなります。
ファイネットでは、VAN側で通信手順、フォーマット、文字コードを変換します。自社が利用できる接続方式を選びながら、異なる環境の取引先とデータ交換できるため、接続先ごとの差異を共通基盤で吸収しやすい構成です。
接続形態は、基幹システムとデータを連携する「Host接続」と、ブラウザから利用する「WebEDI」の2種類です。
Host接続では、JX、ebXML MS 2.0、AS2、SFTPに対応しています。全銀TCP/IPとFTPも利用できますが、公式サイトでは専用線接続の場合に限るとされています。WebEDIはEdge、Chrome、Firefoxに対応し、TLSによる暗号化通信を利用します。
大量データを自動処理したい企業はHost接続、専用システムを持たない取引先はWebEDIというように、取引先の規模やIT環境に応じて参加方法を分けられることが、EDIの普及を進めるうえでの利点です。
取引先のすべてがすぐにEDIへ移行できるとは限りません。システム環境や社内体制の都合から、FAXによる受発注を継続する企業もあります。
ファイネットの「FAX変換サービス」では、送信側から受け取ったデータを帳票イメージに変換し、相手先へFAXで配信できます。受信側がEDIへ切り替えていない場合でも、送信側ではデータを起点に処理できるため、一部のFAX運用を残したまま段階的にデジタル化できます。
導入時やシステム変更時には、各種手続き、通信テスト、WebEDIの操作方法などについてヘルプデスクへ問い合わせられます。ヘルプデスクは365日、7時30分から23時まで対応しています。
一方、データセンターの運用監視は24時間365日体制です。問い合わせ窓口の対応時間と、システム基盤の監視時間は異なるため、夜間の問い合わせや障害時の連絡方法を重視する場合は、契約前に詳細を確認しましょう。
ファイネットのデータセンターでは、耐震構造、電源の二重化、無停電電源装置、非常用発電機、入退室管理などの対策が講じられています。また、首都圏から離れた地域にDR(ディザスタリカバリ)サイトが用意されており、メインサイトが利用できない大規模災害時の事業継続に備えています。
ヘルプデスクも首都圏と北陸の2拠点で運営されています。さらに、ファイネットは情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。
Host接続は、自社の基幹システムとファイネットのVANをつなぎ、受発注や出荷案内などのデータを送受信する方式です。ブラウザ上で1件ずつ処理するのではなく、社内システムへデータを取り込み、自動処理や一括処理を行いたい企業に適しています。
通信手順やフォーマットの変換はVAN側で行われますが、自社システムとの接続開発やデータ項目の対応付けが必要になる場合があります。導入時には、対象データ、送受信頻度、文字コード、処理結果の確認方法まで整理しておきましょう。
WebEDIでは、メーカー側が発注データの受信、出荷案内の送信、販売実績の受信などを行えます。卸売業者側では、発注データの送信、出荷案内の受信、販売実績の送信などが可能です。画面入力のほか、対象業務に応じてCSVやExcelファイルを利用できます。
専用のEDIシステムを持たない取引先もブラウザから参加できるため、Host接続だけではEDI化が難しい中小規模の取引先を含めて、普及範囲を広げやすくなります。
公式サイトでは、WebEDIの画面は24時間利用できると案内されています。一方、Host接続およびWebEDIのデータ配信時間は、原則として5時から翌1時30分までです。WebEDIで1時30分から5時までに送信したデータは、5時以降に配信が開始されます。
深夜帯を含めた即時連携が必要な場合は、画面の利用可能時間だけで判断せず、対象データの配信時間と基幹システム側の処理スケジュールを確認する必要があります。
通信ネットワークの保守やデータセンターの運用監視はファイネットが担うため、自社でVAN基盤を維持する負担を軽減できます。通信テストや操作に関する問い合わせもヘルプデスクが支援します。
ただし、公式サイトで確認できるのは、主にネットワーク運用と利用支援です。受注内容の確認、エラー時の社内判断、取引先への個別連絡などを含む業務運用代行を希望する場合は、委託できる範囲を個別に確認しましょう。
| サービス名 | 商品流通VAN EDIサービス |
|---|---|
| 主な対象 | 酒類・加工食品メーカー、卸売業者 |
| 提供形態 | 業界共同利用型のVANサービス |
| 接続形態 | Host接続、WebEDI |
| Web-EDIの有無 | 〇 |
| 対応プロトコル | JX、ebXML MS 2.0、AS2、SFTP 全銀TCP/IP、FTP(専用線接続の場合のみ) |
| 主な対応フォーマット | 日本加工食品卸協会標準EDIフォーマット(固定長128バイト)、タブ/カンマ区切りの可変長形式、フラットな可変長形式 |
| 主な取扱データ | 発注、出荷案内、販売実績、販売促進金、ASN、在庫報告、請求、出荷予定など |
| サービス提供日・時間 | 365日 Host接続・データ配信:5時~翌1時30分 WebEDI画面:24時間 |
| 24時間365日サポート | △(データセンターは24時間365日監視。ヘルプデスクは365日、7時30分~23時) |
| 運用代行・サポートの有無 | 〇(ネットワーク運用、導入・変更手続き、通信テスト、操作案内など) ※業務オペレーションの代行範囲は要問い合わせ |
| API対応の明記 | 公式HPに記載なし(要問い合わせ) |
| セキュリティ・BCP | ISO/IEC 27001・JIS Q 27001認証、24時間365日監視、電源二重化、DRサイト |
| 費用 | 要問い合わせ(公式HPに具体的な料金額の記載なし) |
Host接続を選択した場合は、自社の基幹システムから発注データや出荷案内などをファイネットへ送信し、VAN側で必要な変換を行ったうえで取引先へ配信します。受信データも自社で利用する形式に合わせて取り込めるため、転記作業の削減や一括処理につなげられます。
WebEDIを利用する取引先は、ブラウザから対象データを確認し、画面入力やファイルのアップロード・ダウンロードによって処理します。送受信状況も画面から確認できるため、専用のEDI環境を構築できない企業でも参加しやすい運用です。
新規導入時やシステム変更時には、必要な手続きや通信テストについてヘルプデスクへ相談できます。取引先を追加する際は、利用するデータ種別、接続方式、フォーマット、運用開始日を整理し、双方でテスト結果を確認してから本番運用へ移行します。
相手先がEDIに対応できない場合は、FAX変換サービスを利用し、自社からはデータで送信しながら相手先にはFAXで届ける構成を検討できます。取引先へ一斉移行を求めず、対応可能な企業からWebEDIやHost接続へ切り替えることで、段階的な普及を進められます。
オリオンビールでは、月間1万件を超える受注明細をFAXや電話で受け付け、基幹システムへ手入力していました。入力後の返信FAXや、記載内容に関する電話確認も必要で、販路や商品の拡大に伴って受注業務の負担が増えていました。
2021年4月にEDIを開始し、沖縄本島、離島、県外へと対象を段階的に拡大しました。EDIに不慣れな取引先には、システム構築が不要なWebEDIも活用しています。
その結果、従来は4~5人が一日がかりで行っていた手入力作業を、1~2人で対応できるようになりました。2023年5月時点では約100社と接続し、受注明細の90%超をFAX・電話からEDIへ移行しています。
伊藤忠食品、加藤産業、国分グループ本社、日本アクセス、日本酒類販売、三井食品、三菱食品の7社は、それぞれ仕入先へEDI化を依頼していました。しかし、卸1社との取引だけでは仕入先側が費用対効果を得にくく、各社が個別に働きかける方法には限界がありました。
出荷案内データを受け取れない場合の手作業による照合や、FAX発注の通信費も、卸各社に共通する課題でした。
7社はEDI化を希望する仕入先を集約し、2社以上から要望が重なった1,528社を重点対象として選定しました。このうち既存のファイネット会員376社へ協力を依頼し、275社から回答を得ています。また、オンライン説明会には473社、1,075人が参加しました。
公式事例のインタビュー時点では、対象企業のうち205社が「EDI対応可能」、211社が「前向きに検討」と回答し、63社が卸7社のいずれかと新たにEDIを開始しています。競争領域ではない共通業務について、業界横断で普及を進めた事例です。
A. はい。ファイネット側で通信手順、フォーマット、文字コードを変換するため、自社と取引先が異なる接続環境を利用している場合でもデータ交換できます。ただし、自社システムとの接続開発やデータ項目の調整が必要になる場合があるため、個別要件は事前に確認してください。
A. JX、ebXML MS 2.0、AS2、SFTPに対応しています。全銀TCP/IPとFTPは、専用線接続の場合に利用できます。なお、「Host接続」と「WebEDI」は接続形態の区分であり、通信プロトコル名ではありません。
A. WebEDIの画面は24時間利用できます。ただし、データ配信時間は原則として5時から翌1時30分までです。1時30分から5時までに送信したデータは、5時以降に配信が始まります。夜間処理が必要な場合は、この時間差を考慮して運用を設計しましょう。
A. データセンターの運用監視は24時間365日体制ですが、ヘルプデスクの受付時間は365日、7時30分から23時までです。夜間の緊急連絡や復旧対応については、契約前に適用条件をご確認ください。
A. はい。FAX変換サービスでは、送信データを帳票イメージへ変換し、相手先へFAXで配信できます。相手先がファイネット会員ではない場合にも利用できるため、一部のFAX取引を残しながら送信側のデータ化を進められます。
A. 首都圏から離れた地域にDRサイトが用意されており、メインサイトが利用できない場合の切り替えに備えています。データセンターでは耐震、電源二重化、非常用電源などの対策も実施されています。
A. 公式サイトでは、商品流通VAN EDIサービスのAPI提供について明記されていません。API連携が必須の場合は、利用可能な接続方式、仕様、追加開発の要否をファイネットへお問い合わせください。
商品流通VAN EDIサービスの強みは、酒類・加工食品業界の商流と標準フォーマットを前提に、多くの企業が参加する共通基盤を利用できる点です。
選定時には、自社の取扱商品や業務が対象範囲に合うか、主要な取引先がすでに参加しているか、今後参加してもらえる見込みがあるかを確認しましょう。他業界固有の取引データが中心の場合は、標準対応の範囲を個別に確認する必要があります。
大量データを基幹システムで自動処理する取引先にはHost接続、専用システムを持たない取引先にはWebEDIが候補になります。自社だけでなく、相手先のデータ量、担当者数、システム環境も踏まえて接続方法を選びましょう。
一律に同じ方式へ移行させるのではなく、Host接続、WebEDI、FAX変換を使い分けることで、EDI化の対象範囲を広げやすくなります。
発注データだけを電子化しても、出荷案内や販売実績がFAX・紙のまま残れば、照合や入力の負担を十分に減らせない場合があります。
受注入力、納期・出荷確認、検品、販売実績、販売促進金など、どの業務までデータ連携するかを整理し、削減できる作業時間や誤入力件数を見積もることが重要です。
WebEDIの画面は24時間利用できますが、データ配信には時間帯の定めがあります。深夜・早朝の受注や当日出荷を行う場合は、送信から取引先への配信、基幹システムへの取り込み、社内の締め処理までを時系列で確認しましょう。
365日対応のヘルプデスクや24時間365日の基盤監視は、安定運用を支える重要な要素です。ただし、これらは受注内容の判断や取引先への連絡まで代行する業務アウトソーシングとは異なります。
障害時の切り分け、データ再送、取引先への問い合わせ、社内エスカレーションなど、誰がどこまで担当するかを導入前に明確にしましょう。
公式サイトには具体的な料金額が掲載されていません。サービス利用料だけでなく、初期設定、Host接続の開発・テスト、基幹システム改修、取引先展開、FAX変換などを含めた総額で比較する必要があります。
ファイネットの商品流通VAN EDIサービスは、酒類・加工食品業界で多数の取引先と受発注、出荷案内、販売実績などを交換し、共通ルールに基づく運用へ移行したい企業に適しています。約2,500社が参加する基盤、業界標準フォーマット、Host接続とWebEDI、FAX変換を組み合わせることで、取引先のシステム環境に差がある場合でも段階的にEDI化を進めやすい点が特徴です。
また、通信手順やフォーマットの変換、365日対応のヘルプデスク、24時間365日のデータセンター監視、DRサイトなど、共同利用型サービスとしての運用基盤も整っています。自社で通信ネットワークを維持する負担を軽減しながら、業界内の接続先を広げたい企業にとって有力な候補です。
一方、サービスは酒類・加工食品業界の標準取引を軸としているため、他業界固有の業務や大幅な個別仕様が中心の場合は適合範囲の確認が必要です。また、WebEDI画面の利用時間とデータ配信時間、ヘルプデスクと基盤監視の対応時間、サポートと業務代行の違いを整理したうえで比較しましょう。
EDIはサービスの選定を誤ると、要件ミスマッチによる接続トラブルや、基幹システムの予期せぬ改修・追加開発を招く可能性があります。
しかし、個別要件が複雑に絡むEDIにおいて、自社に合うサービスを見極めるのは容易ではありません。
当メディアでは、各社のEDI導入実績と事例を調査し、特にニーズの高い「現場の個別仕様の吸収」「閉域網や専用ネットワークへの対応」「手軽な導入」の目的別におすすめの3社を厳選して紹介しています。自社要件に適したEDIサービスの比較検討にご活用ください。
| 会社名 | 株式会社ファイネット |
|---|---|
| 設立 | 1986年4月1日 |
| 所在地 | 〒103-0027 東京都中央区日本橋三丁目9番1号 日本橋三丁目スクエア6階 |
| 電話番号 | 03-5204-2600 |
| 公式サイトURL | https://www.finet.co.jp/ |
EDIサービスは取引先と使うシステムのため、費用や機能だけでなく「取引先の状況」に合わせた選定が不可欠です。
取引先ごとに仕様や通信手順が異なり個別対応が必要な企業は【個別カスタマイズ型】、金融連携や厳格なセキュリティ要件・閉域網での運用が必要な企業は【専用ネットワーク対応型】、自社仕様のWeb画面を取引先にも使ってもらうことが可能な場合は【自社主導・簡易Web型】がおすすめです。
【生活用品商社】百貨店・量販店ごとの複雑な個別ルールをすべて吸収し、ファイル交換型と3つのWeb-EDIを統合。高難易度の移行をトラブルなく完遂。
【エネルギー・プラント関連】高セキュリティな専用ネットワーク(閉域網)を活用し、受発注と金融決済の通信を統合。堅牢な通信基盤により安全で安定した取引運用を実現。
【食品メーカー・卸】電話・FAX依存の注文をWeb-EDIへ集約し、複数の飲食店からの受注を一元管理。手作業による入力負荷をなくし、正確で効率的な業務へ刷新。